魅惑のカナダ

バンクーバーを中心にカナダに短期(1年くらい)滞在して知った情報を記録してるよ。

医療・公共サービス

BC州の公共サービスについて紹介しているよ

医療

ビザ持ちなら,皆保険MSPで医療費は無料だよ。処方薬はFair PharmaCareで所得に応じて補助が出るよ。

科目別の専門病院はなくて,ファミリードクター(GP: General Practitioner)・ウォークインクリニック・総合病院・緊急外来しかないよ。

制度的に,専門科を受診するにはGPかウォークインクリニックで紹介状がいるよ。(目は家庭医やオプトメトリスト(眼鏡屋にもいる検眼士)に見てもらってから眼科(ophthalmologist: eye doctor)を紹介してもらう。歯だけはMSP適用外なので歯科医に行けばいい。

GPに見てもらおうにも病院不足で満員のため,今や登録受付している病院はほぼないので,ウォークインクリニックに駆け込むよ。

これが,めちゃくちゃ並ばされるよ。待たされるよ。予約できるところも「10日に来てください,来月の」とか平気で言われるよ。救急外来(ER: 9-1-1)でさえ3時間以上の待ち時間だよ。

理由は,

  • 家庭医は患者数を自分で制限できる
  • 診療報酬に上限がある
  • 医療機器が少ない(医療予算削減政策で)
  • 私費診療病院が可能な州でそれになると,保険医ではなくなる
  • トリアージが厳格

といったところだよ。

一応,すいていそうなところを検索はできるが,とにかく混むからとりあえず電話しろってことらしいよ。

ちなみに,公式日本語ガイド日本語で受診したい場合

で,診てもらったあげく「よく休んで下さい」とかでおしまいがほとんどだよ。薬もあんまり出さないし,出ても何の薬かとかの説明はないよ。

MSP(Medical Service Plan)じゃなくて個人保険だ,というと早く診てくれるという噂があるけど,知らないよ。

UPCC

病院はもうあきらめて,とりあえずさっと診察してくれる,Urgent and Primary Care Centreってのを使えって州は言ってるね。

抜け道?

TELUS Healthとか,Lifespan Medicalとかみたいな,「治療する病院ではありません,予防医療の健康サービスです」という形で,個人診療もやっているよ。保険外だから高いけど,待たずに医者に会えるサービスだよ。医者も給料も勤務体系も良く,一見Win-Winっぽいけど,予防医療はMSP外なので高額請求しても問題ないという法の抜け穴サービスだよ。

というのも,MSPがカバーする診療を,追加料金を払うことで優先的に受けられるようにすることは違法とされるからだよ。というのも,Cambie外科医院訴訟という最高裁判決で,私費診療の禁止は,公共制度の維持が優先してカナダ憲章の生命安全権や平等権の侵害にあたらないので合憲合法,と結論が出ているからだよ。

高齢化

ここも高齢化が進んでいるけど,それによる生産性低下が問題になってるよ。

ロジックが面白くて,不動産が高すぎ,病床を増やせない,老人をまとめて介護できない,介護に無駄な時間がとられる,生産性が下がる,だから問題だ,と。ほんと生産性,大好きやね。

ACP: Advance Care Planning

ACPは,倒れて意思表明できなくなったときに,どう誰が治療計画を決めるかの決め方だよ。州の冊子のほか,Green Sleeveという救急救命士に見せるキットを各病院が作っている[]よ。

BCカード

BC Service Cardは,12歳以上の6か月以上のビザ保有者が取得できる身分証だよ。あらゆる公共サービスの申請に必要なので,取っておくよ。ICBC(免許センター)で取ってくるよ。

BC Liquor

どこにでもあるBC Liquorは,州が運営する酒屋チェーンだよ。酒屋の民間への解禁は2008年,禁酒法関係の歴史の結果だよ。ちなみに,大麻解禁してるからBC Cannabissっていう州営の大麻チェーン店もあるよ。

ちょっと昔までは,冷蔵コーナーがなくて,段ボールが積みあがってるような感じの店だったらしいけど,民間との競争になってからは「Cold Zoon」とデカデカと表示して,壁面いっぱいに大きな冷蔵展示ケースを設けるようになったよ。

季節のパンフレット冊子が超豪華だよ。

39th & Cambie店はたぶん最大のお店だよ。すごい品ぞろえだよ。試飲コーナーもあって,店員がめっちゃしゃべりかけてくるよ。

ストライキ

公務員のストライキがちょくちょくあるらしく,Public-Sectorとかいう公共部門のストが起こると,州管理の倉庫の管理が止まるので,何より酒(と大麻)の流通が止まってしまうよ。こうなると,飲食店は仕入れができなくなっちゃうし,一般消費者も酒屋,特にBC Liquorが「お一人様,何本まで」制限をしたり,在庫確保のために取り扱い量の多い店から休業したりするから,酒類の確保に躍起にならざるを得ないよ。民営酒屋はこの時こそ在庫処分のチャンスだね。

BC Liquorの開いてるお店には,みんなこぞってまとめ買いに来てるよ(ビールとボルドーワインだけは購入制限がない。2022年産ボルドーワインフェアを予定していたから各店に大量の在庫があるということだろうか)。

雰囲気的に,市民はストを応援してる感じがあるよ。労働環境の適正化や資本の適正な分配流通は,労使間闘争による交渉と,政府等民主的権力の介入なくしては達成しえないし,そうする中でいろんなイノベーションが生まれる,というコンセンサスがある感じだね。そのあたり,日本とぜんぜん違うね。

2022年ボルドー,発売

ストで延期されていた2022年産ボルドーワインの販売もはじまったよ[公式リリース]。

39th & Cambie店では,番号のふられた木箱に入った約200種類のボルドーが,店内中あちこちに積み重ねておいてあったよ。店内に置いてあるこのカタログを片手に,ワイン好きが買い込んでいたよ。

富裕層だよ。だって,価格帯が1本3,000円が最安で,上は14万円,ほとんどが1万円クラスで,一般人には手が出ないよ。そこで,隣の棚に並んでいた,特別セールで1本800円のワインにしておいたよ。でも記念に一番お手頃な1本だけ買ったよ。

電気代

BCの電気は公営のBCハイドロ社が95%を供給しているよ。

従量価格が1kwhあたり10円ちょっと程度なので,関西(20~30円)の半額以下だね。そりゃEVが売れるわ。

水力発電が90%以上を占めていて,発電し放題だよ。BCハイドロで年5.6万GWhの発電量だから,関西電力の原発(5.0万GWh)より発電できちゃうんだね。